盗難Appleデバイスの所有者を狙う「AnonyMousKIT」、パスワードや2FAコードを窃取
AI音声を悪用するPhaaS「AnonyMousKIT」、盗難Appleデバイスの所有者を標的に
サイバーセキュリティ研究者は、盗難・紛失したAppleデバイスのアクティベーションロック解除を目的とするフィッシング・アズ・ア・サービス(PhaaS)プラットフォーム「AnonyMousKIT」を確認した。AnonyMousKITはAI音声エージェントを利用してAppleサポートを装い、デバイスの所有者からパスワードや2FAコードなどの認証情報を窃取しようとする。
AnonyMousKITは、メール、SMS、WhatsApp、録音された音声通話、AI音声エージェントの5つのチャネルを通じて標的に接触する。AI音声エージェントについては、2025年8月から2026年5月までに約200件の利用が記録されており、1件あたりの通話コストは約9.6セントだった。通話は主にブラジルから発信され、Appleサポートを装ってデバイスの所有状況をリアルタイムで確認しながら、パスワードや2FAコードの入力を誘導する。
AnonyMousKITは単純なフィッシングキットではなく、複数の攻撃機能を提供するサービス型のプラットフォームとして運用されている。研究者は691件の攻撃試行を観測し、関連する188のドメインが稼働していることを確認した。特にメールやSMSが標的への接触手段として広く利用されており、複数の国や都市で盗難・紛失したAppleデバイスの所有者を狙った攻撃が確認されている。
AnonyMousKITでは、Appleの正規サービスを装ったメッセージや音声通話によって被害者の信頼を得るソーシャルエンジニアリング手法が用いられている。研究者は、標的となる可能性が高いApple IDについて、物理的なセキュリティキーを利用するなど、フィッシング耐性の高い認証方式を検討するよう推奨している。SOCRadarはAnonyMousKITのインフラや活動を引き続き監視するとしており、今回の事例はAI音声技術が従来のメールやSMSと組み合わされ、フィッシング攻撃の一部として利用されている実態を示している。

