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ハッキング

「Beget」にサイバー攻撃、クラウドデータ消失で多数のサイトに障害

「Beget」にサイバー攻撃、クラウドデータ消失で多数のサイトに障害

 

ロシアの大手ドメイン登録・ホスティング事業者「Beget」が11月2日未明にサイバー攻撃を受け、クラウドインフラのデータが消失した。攻撃者はインフラ全体の管理システムに不正アクセスし、データを消去するための悪意あるプログラムを実行した。仮想専用サーバー(VPS)、S3互換のクラウドストレージ、Kubernetesサービスが深刻な影響を受け、ロシア国内の企業や公共機関を含む多数のWebサイトで障害が発生した。最初の侵入経路や攻撃者の身元は明らかになっていない。

Begetが公開した経過報告によると、攻撃は11月2日午前2時ごろ(モスクワ時間)に始まり、午前2時30分ごろにデータ消去を目的とする悪意あるプログラムが実行された。同社は午前2時40分ごろに不正アクセスを検知し、午前2時55分ごろには被害の拡大を防ぐため、すべてのサーバーをネットワークから切り離した。その後、被害状況の調査と復旧作業を開始した。

Begetによると、クラウドインフラではVPS、S3、Kubernetesに関連するデータが失われ、CDNやIPアドレスに関する設定情報も消失した。仮想サーバーのバイナリ形式のバックアップはすべて失われた一方、ファイル単位のバックアップは残っている。同社は保存されているバックアップを利用した復旧を進めているが、失われたデータをどこまで復元できるかは確定していない。

共有ホスティング上のWebサイトについては、ほぼすべてを復旧できる見込みだという。ただし、1,000台を超えるサーバーを個別に点検し、潜在的な脆弱性や悪意あるスクリプトの有無を確認する必要があるため、サービス全体の正常化には相当の時間がかかるとみられる。

11月2日には、顧客が自ら管理する専用サーバーとドメインのネームサーバーが復旧した。3日にはメールサービスのインフラの80%以上が復旧し、Webメールやドメイン管理機能も段階的に再開された。4日未明には、復旧した共有ホスティングサーバー上で一部のWebサイトが再び利用可能となった。エンジニアは引き続き、サーバーの安全性やデータの整合性を確認しながら復旧作業を進めている。

現地メディアによると、ナリヤンマル市の行政公式Webサイトや、ロシアの商品表示・追跡システム「Chestny Znak」なども影響を受けた。ロシア科学アカデミー傘下の太陽天文学研究所も、ドメイン登録事業者に関連する技術的な問題によって、宇宙天気情報を提供するWebサイトにアクセスできないと説明した。ロシア紙Kommersantは、今回の障害が、Begetを利用してオンラインショップや企業サイトを運営する中小企業に大きな影響を及ぼしたと報じている。

2007年に設立されたBegetは、クラウドコンピューティング、Webホスティング、ドメイン登録・管理などのサービスを提供している。Kommersantが引用した統計によると、同社は2026年10月時点でロシアの「.RU」ドメイン登録事業者として第2位に位置し、約54万700件のドメインを管理していた。市場シェアは14.7%だった。

Begetは、顧客データが保存されたサーバーについて、攻撃者が情報をダウンロードしたり、データを変更したりしようとした痕跡は確認されていないと説明している。ただし、これは外部への情報流出が完全に否定されたことを意味するものではない。同社は、影響を受けたシステムに保存されていた可能性のあるパスワードやアクセスキー、その他の認証情報を変更するよう顧客に推奨している。

最初の侵入経路については、安全な復旧作業と進行中の調査への影響を理由に、詳細を公表していない。現時点で攻撃への関与を公に主張した組織も確認されておらず、攻撃者の目的や使用された具体的な侵入手法は不明だ。

またBegetは、今回の攻撃とそれに伴うサービス障害が、ロシア民法上の不可抗力に該当する可能性があるとして、顧客に通知した。大規模なインフラ障害によって、一部の契約上の義務を一時的に履行できない状況にあるという。ただし、不可抗力への該当性が法的に確定したわけではない。

今回の攻撃は、ロシアのデジタルインフラに対するサイバー攻撃や物理的な攻撃が相次ぐ中で発生した。10月には、ロシアのホスティング事業者「FirstVDS」が使用するソフトウェアの脆弱性が悪用され、顧客のパスワードやクラウドサービスの認証情報、暗号資産ウォレットに関連するデータが盗まれたと報じられた。

また、ウクライナのドローンによる攻撃では、ロシアのIT大手Yandexが運営するデータセンター3カ所が標的となり、うち2カ所が稼働を停止したと報じられている。これに伴い、クラウドサービスやオンラインサービスにも障害が発生した。ロシアの大手銀行SberbankやSNS大手VKのデータセンターも、別のドローン攻撃の標的になったとされる。ただし、これらの事件とBegetへのサイバー攻撃との関連性を示す情報は確認されていない。

一方、欧州連合(EU)は2026年初め、Begetがウクライナのロシア占領地域の当局やロシアの防衛関連組織に、ホスティングやドメイン登録などのデジタルサービスを提供していたとして、同社と共同所有者の1人を制裁対象に指定した。EUは、こうしたサービスの提供がロシアによるウクライナ侵攻を支援する活動に関係していると判断している。ただし、今回のサイバー攻撃がEUの制裁措置や同社の事業上の関係を理由に実行されたことを示す証拠は公表されていない。

 

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