Google元エンジニア、AI機密情報を中国企業に流出 有罪判決
GoogleのAI機密流出事件
Googleの元ソフトウェアエンジニアであるLinwei Dingが、AIハードウェアに関する機密情報を中国拠点の企業2社に不正に提供したとして、有罪判決を受けた。
流出先のうち1社はDing本人が設立した企業で、もう1社は中国の統制組織への技術提供を試みていた企業とされている。
Dingは、Googleが開発・運用するTensor Processing Units(TPU)、Graphics Processing Units(GPU)、およびSmartNICネットワークインターフェースカードに関する機密情報を不正に持ち出したとされ、経済スパイ行為および営業秘密窃盗など計14件の罪で起訴されていた。
情報窃取および流出の過程
Linwei Dingは2019年5月13日から Google に勤務し、機械学習アプリケーション向けにGPUの効率を向上させるソフトウェア開発を担当していた。業務上、GoogleのAI関連機密情報へのアクセス権限を有していたとされる。
捜査当局によると、Dingは2022年5月から2023年4月にかけて、2,000ページを超えるAI関連の機密資料を自身の個人用Google Cloudアカウントにアップロードしていた。これらの資料には、GoogleのAIスーパーコンピューティングインフラ、TPUおよびGPUシステム技術、大規模AI処理向けオーケストレーションソフトウェア、ならびにSmartNICネットワーキング技術など、極めて重要な情報が含まれていたという。
Dingは、GoogleのソースファイルをApple Notesアプリケーションにコピーした後、PDF形式に変換して個人アカウントへアップロードする手法を用い、初期段階での検知を回避していたとされている。
この期間中、Dingは中国の技術系スタートアップ Beijing Rongshu Lianzhi Technology Co., Ltd. から最高技術責任者(CTO)としての就任要請を受け、その後、自身が設立した Shanghai Zhisuan Technology Co. Ltd. のCEOとして活動していた。
中国との連携および法的対応
Linwei Dingは、中国政府と連携する2社のためにAIスーパーコンピュータ開発を支援し、カスタム機械学習チップの研究開発に協力する計画を有していたとされる。さらに、中国・上海市政府の後援を受ける人材プログラムに応募し、中国のコンピューティングインフラ能力を国際水準へ引き上げることを目的としていた。
捜査当局によると、Dingは中国への渡航事実を Google に報告せず、同僚に社屋の入退室バッジを代行スキャンさせることで、米国内に滞在しているかのように装っていたという。
11日間に及ぶ裁判の結果、陪審団は経済スパイ行為および営業秘密窃盗の各7件について、Dingの有罪を全会一致で認定した。量刑においては、各罪につき最大10年から15年の刑が科される可能性がある。
今回の事件は、先端技術を扱う企業において機密情報保護の重要性とともに、内部不正を想定したセキュリティ体制の強化が不可欠であることを改めて示した。

